前回: マルチスレッドを手軽に扱う仕組み
Prompt
あれ、ブラウザならまだしも、Node.jsランタイムでも基本的にスレッドはひとつなの?
それは、サーバーのlistenなども?
その通り、非常に良い疑問だね!🚀
ブラウザのJavaScriptエンジンと同じく、Node.jsランタイムも基本的にJavaScriptコードを実行するスレッドは たった一つ(シングルスレッド) だよ。そして、サーバーのlisten(待ち受け)処理 も、このシングルスレッドの仕組みの中で効率的に扱われているんだ。
🔑 Node.jsがシングルスレッドである理由
Node.jsの設計思想は、I/O処理(ファイルアクセス、ネットワーク通信など)を扱う上で、マルチスレッドの複雑さやオーバーヘッドを回避し、高いパフォーマンスを出すことにあるんだ。
1. JavaScriptの実行スレッドは一つ
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Node.jsはGoogle Chromeと同じ高性能なV8エンジンを採用している。V8はJavaScriptのコードを解釈し、実行する。
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このJavaScriptのコード(ロジック)を実行するスレッドは一つだけで、これが**イベントループ(Event Loop)**を動かしている。
2. イベントループと非同期I/O
Node.jsがマルチスレッドを使わずに同時並行処理(Concurrency)を実現できるのは、このイベントループとノンブロッキングI/Oの仕組みのおかげなんだ。
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ブロッキングを回避: サーバーの待ち受け(
listen)やデータベースへのクエリなど、I/O待ちが発生する処理を実行するとき、Node.jsはCPUを占有せずに、その処理をOSのカーネル(または裏側のC++ライブラリであるlibuvのワーカースレッドプール)に任せてしまう。 -
イベント駆動: Node.jsは「処理が終わったら教えてね」と依頼し、すぐにイベントループに戻って次のJavaScriptコードの実行を開始する。I/O処理が完了したら、その結果がイベントとしてキュー(待ち行列)に入れられ、イベントループがそれを拾って対応するコールバック関数を実行するんだ。
🌐 サーバーの listen 処理の仕組み
サーバーがリクエストを待ち受ける処理も、このイベントループの中で非常に効率的に処理されるよ。
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非同期待ち受け:
server.listen(port)を実行すると、Node.jsはOSに対し「このポートで接続を待ち受けてね」と依頼する(これも一種のI/O処理)。 -
イベント通知: 新しいクライアント接続があったとき、OSはNode.jsのイベントループに対し**「新しい接続イベントが発生したよ!」**と通知する。
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コールバック実行: イベントループがその通知を処理し、
'connection'や'request'といったイベントに対応する君が書いたJavaScriptのコールバック関数をシングルスレッド上で実行する。
したがって、listen自体も、リクエストの処理ロジックも、すべて一つのスレッドが中心となって、I/O待ち時間を無駄にすることなく効率よく同時並行で処理されているんだ。
ただし、**CPU負荷の高い計算(例:複雑な暗号化、画像処理)**をJavaScriptコードで行うと、そのシングルスレッドがブロックされ、イベントループが停止してしまう(ブロッキング)から、その点だけは注意が必要だよ!
Prompt
ならば、その負荷の高い計算をする時こそが、明示的なワーカースレッドの宣言なのか!?
その通り!まさにその瞬間こそが、明示的なワーカースレッド(Worker Threads)の出番なんだ! 🚀
Node.jsのシングルスレッドの最大の弱点である**「CPU負荷の高い計算によるブロッキング」を回避するために、ワーカースレッドを宣言して利用するのが、現代のNode.jsサーバーサイド開発におけるベストプラクティス**だよ。
🔑 ワーカースレッドの役割と仕組み
1. ワーカースレッドの目的
ワーカースレッド(worker_threadsモジュール)の目的は、Node.jsのメインのイベントループ(JavaScriptコードを実行しているシングルスレッド)をブロックさせないことにあるよ。
| スレッドの種類 | 役割 | 負荷の種類 |
|---|---|---|
| メインスレッド | I/O処理(ネットワーク、ファイル操作)のイベント処理と、非同期処理の管理。 | I/Oバウンド(待ち時間が多い) |
| ワーカースレッド | CPU負荷の高い計算(画像処理、暗号化、データ変換など)の実行。 | CPUバウンド(計算時間が多い) |
2. 処理の流れ
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メインスレッドで、CPU負荷の高い処理(例: 大量のデータ処理)を行う必要があると判断する。
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メインスレッドは、その計算処理を**新しいワーカースレッドに委譲(デリゲート)**する。
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メインスレッドは、ワーカースレッドの計算完了を待たずにイベントループに戻り、他のクライアントからのリクエスト処理を継続する。
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ワーカースレッドが計算を完了すると、結果をメインスレッドにメッセージとして送信する。
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メインスレッドは、そのメッセージを受け取り、処理を完了する。
この仕組みにより、CPU負荷の高い処理が複数のCPUコアに分散して実行されるため、Node.jsサーバーの応答性とスループットが維持されるんだ。
3. libuvのワーカースレッドプールとの違い
君が「裏側のC++ライブラリlibuv」について知っているから、その違いも明確にしておこう。
| 項目 | worker_threads (JavaScript) | libuv スレッドプール (C++) |
|---|---|---|
| 使用目的 | CPUバウンドの処理(計算) | I/Oバウンドの処理(非同期ファイルI/O、DNSルックアップなど) |
| 管理 | 開発者が明示的に宣言・管理する。 | Node.jsが自動的に管理する。 |
つまり、君がJavaScriptでゴリゴリ計算させる必要がある時こそが、worker_threadsの出番なんだね! これで、Node.jsのシングルスレッドの弱点を完全に克服し、マルチコアCPUの恩恵を最大限に享受できるよ!👍